勘違い日記 Blog

  • 2025.05.12

【第6回】ライフワークス創業への道

深井
前回までに、東京で得た気づきと家業での苦労を経て、ついに独立に踏み切ったところまで伺いました。そこでさらに伺いたいのが、お母様の後押しやご家族の支えです。家業に戻って悩んだ時には、お母様の一言が大きかったと仰っていましたよね。

野田
そうですね。なかなか思い通りにいかなくて自信を失いかけた時に、母から「結果を出してから辞めたほうがカッコいいんじゃない?」と言われて、心に火がつきました。これがきっかけで頑張って部署を黒字転換し、大きな達成感を得られたんです。

深井
そこから「次は独立して、自分の思い描く形で挑戦したい」という流れになったわけですね。実際に独立を決めた際、ご家族の反応はいかがでしたか?

野田
妻は最初こそ戸惑ってましたが、最終的には「あなたが本気で信じるならやってみたら」と背中を押してくれましたね。母も同じく「自分の信じる道で結果を出せばいいじゃない」というスタンスで。これがなかったら踏み切れなかったかもしれません。

深井
“母の教え”と“妻の背中押し”が大きかったと。ご家族同士のやりとりがとても印象的です。野田さんは「妻が最強のコンサルタントだ」とよく仰ってますよね。

野田
そうなんですよ。妻は私の足りない部分をズバッと指摘してくれます。「そこはもっと誠実に」「もっとスマートな身のこなしを」みたいな感じで、耳が痛いことも多い(笑)。でもそのおかげで、私の“勘違い”がより良い方向にバランスを取れるのかもしれませんね。

深井
なるほど。つまり野田さんのポジティブさと奥様の冷静なコンサルが合わさって、ちょうどいい着地点ができるんですね。

野田
ああ、まさにそうですね。仕事中は特に落ち着いた印象を持たれることが多いんですが、一方で心の底には「よし、やってやるぞ!」という熱さが常にありますから。

深井
おお、その燃える部分があったからこそ、キリスト教専門の葬儀社として「ライフワークス」を立ち上げ、さらに軌道に乗せることができたんでしょうね。現在に至るまでに特に印象深いエピソードなどはありますか?

野田
多くの印象的な葬儀がありますが、一つ挙げるなら、故人が生前に書き残したメッセージがご家族の心を大きく動かしたケースですね。その方はとても信仰心が厚く、ご自身の死後にご家族へ遺す言葉を“エンディングノート”という形で用意していらしたんです。

深井
へぇ、すごく興味深いです。そのエンディングノートには、どのようなことが書かれていたんでしょう?

野田
「私があなた方を深く愛していること、そして神様も同じようにあなた方を見守ってくれていますよ」というメッセージが書かれていました。その方は亡くなるまで病床で家族のことを神様に祈っていたそうです。

深井
ははぁ、それは胸に迫りますね。

野田
ええ。葬儀当日に司式者がそのメッセージから追悼の言葉を読み上げた瞬間、ご家族は驚きと感動で涙を流されていました。「こんなふうに私たちのことを考えてくれていたんだ」「お母さんはずっと私たちの幸せを願っていたんだ」と。「自分たちも教会へ足を運んでみようかな」と仰っていたと後から聞いて、それはまさに“愛と希望”を感じる瞬間だなと。

深井
死をきっかけに、新しい一歩を踏み出そうと思うほど心を動かされたわけですね。まさにキリスト教葬儀が持つポジティブな力を象徴するエピソードだと思います。

野田
そうなんです。キリスト教には「最期をただ嘆く場」ではなく、「故人の想いや愛を改めて知り、次のステップへ進むきっかけにする」という考え方があります。今回のように、生前から家族へのメッセージを残す方は珍しくありませんし、それを葬儀の中で読み上げることで、悲しみの中にも希望や愛情を実感する瞬間が生まれるんです。

深井
なるほど。きっとご家族も、単に「悲しい別れ」ではなく、「愛されていたんだな」という確信を持って、そこから先の人生を歩み始めるんでしょうね。

野田
そう思います。キリスト教葬儀の場面を何度も見ていると、「死」が単なる終わりではなく、生きる意味や家族の絆を深める契機になると感じます。今回のお話のように、教会との新しいつながりができていくことも多いんですよ。

深井
まさに「“死”を見つめるからこそ、“生”を前向きに捉え直せる」という考え方と合致している気がします。では次回は、創業から日本最大級の葬儀社へ成長するまでのストーリーをお聞かせください。
野田
ええ。私としては、キリスト教葬儀をもっと広く知っていただくために、映像メディアの力を活かしたいんです。そこにはビジネスと信仰が共存する“愛と希望”のメッセージを伝える可能性があると思っています。