勘違い日記 Blog
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- 2025.05.19
【第7回】大阪での創業と挑戦
深井
ここまで、「死を見つめて全力で生きる」というモットーやご家族の後押しなど、さまざまな要素が野田さんを支えてきたことが分かりました。今回のテーマは、いよいよ大阪での創業秘話をお聞きしていきたいと思います。
野田
東京や家業での経験を経て、いざ独立するなら思い切って環境を変えたいと考えた結果、大阪でチャレンジしてみることにしました。
深井
慣れ親しんだ地元を離れて、あえて大阪で起業されたんですね。どうして大阪だったんですか?
野田
実は一度福島で同じようにキリスト教の葬儀社を立ち上げようとしてうまくいかなかったことがあって。その経験から、次はもっと大きな都市でスタートしよう、と。本当は、東京でスタートしたかったんですが、大学卒業後に働いた会社が東京だったので、競合になっては失礼だなと思い、次に大きい都市は、大阪だろう!の勢いで関西の地を選びました。
深井
そんな経緯があったんですね。前回のお話では、奥様が背中を押してくださったことも大きかったとか。
野田
そうですね。自分では気合十分でも、不安がないわけではないので、すぐ隣で応援してくれる人がいるというのは本当に心強かったです。その頃は地元福島に家も買っていて、子どもも生まれたばかりでしたから、よく賛成してくれたなと思います。
深井
小さなお子様がいらっしゃる状況で、新天地での挑戦を応援する。奥様の器の大きさを感じるエピソードですね。実際、大阪に移ってすぐはどのように事業を広げていったんでしょう?
野田
まずは地道に地域の教会やキリスト教関連団体との関係構築に勤めました。だんだんとご縁が広がっていく中で、諦めずにやり続けることの大切さをあらためて感じましたね。その辺りの詳しい経緯は拙著『ビジネスで勝ち抜くための聖書思考』にも書かせていただいたので、ご興味ある方はぜひ読んでいただけると嬉しいです。
深井
創業当時のイロハが詰まっているわけですね。そこはすごく気になるところです。ちなみに他にはどんな取り組みをされてきたんですか?
野田
あとは「終活セミナー」にも力を入れています。毎週教会に行かれていても、自分自身の葬儀というとピンとこない方も多い。そこで「エンディングノートを書いてみましょう」から始めて、どんなふうに見送ってほしいかを考えていただく機会にしています。
深井
ああ、なるほど。それはキリスト教以外の方にも広く必要な機会ですよね。しかも日本では葬儀というと、仏式が圧倒的に多いですから。そういったセミナーで選択肢が広がるきっかけにもなりそうです。
野田
まさに仰るとおりで。「結婚式は教会でやったけど、お葬式もできるなんて知らなかった」という方が本当に多い。SNSや書籍の出版などを通じて、最近は少しずつ「葬儀も教会でやるという発想があるのね」と知ってくださる方も増えてきました。
深井
素晴らしいですね。きっと野田さんの“人を巻き込む力”があってのことなんでしょう。終活セミナーでも、参加者の方へ熱い語り口でメッセージを届けている姿が目に浮かびます。
野田
ああ、確かにそういう一面はありますね(笑)。私自身、もともと人前で話すのが好きなので、全く苦にならないんです。ただやはり最初は緊張しましたけどね。
深井
そうなんですか! ちょっと意外ですね。何か緊張を克服するよい方法があったんでしょうか?
野田
それこそ「マインドセット」はおすすめです。例えばセミナーだったら、「私はプロのセミナー講師だ」と自分に暗示をかけて、それが馴染むまで1人リハーサルを繰り返すんです。そんなことを1年も続けるうちに、全く緊張しなくなりました。
深井
なるほど。やはりそこでもマインドセットが出てくるんですね。そうやって地道な活動を続けた結果、創業19年で4000件を超える葬儀を手掛けるまでに成長されたわけですね。そこからさらに現在、そして未来に向けてどのような展開が待っているのか楽しみです。
野田
ありがとうございます。これからは映画製作など映像メディアを活用して「キリスト教葬儀という選択肢がある」ことをもっと広く届けたいですね。日本の葬儀文化自体を明るく、多様にしたい、その想いを形にしていきたいと思います。
深井
素敵ですね。では次回は、その「送る文化を明るくする」というビジョンをさらに深掘りしたいと思います。
野田
ぜひ! 実際に葬儀を経験したご家族からの声を通じて、私自身が感じたこともお話ししましょう。