勘違い日記 Blog
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- 2025.07.12
【第14回】かっこつけない演出術──SNSは“物語”で届ける
深井
前回は、人生の後半戦に差し掛かった世代に野田さんの発信が届いている、というお話でしたが、今回はその「発信」の中身について少し深掘りしていきたいと思います。SNSの使い方もかなり工夫されてますよね。
野田
そう見えてるなら嬉しいですけど、基本は「どう伝えたら伝わるか」を日々試行錯誤している感じです。例えばFacebookとXでは、届け方を変えてみたり。
深井
そうなんですね。例えばどんなふうに変えてるんですか?
野田
Facebookは「ネクタイを締めて投稿する」ような感覚です。ビジネスの場に出ていくような、少し整った言葉づかいで、きちんと伝える。一方でXはもう少しラフな感じというか、感情をそのまま出した方が響きやすい気がします。
深井
なるほど。それぞれ“場の空気”に合わせて、投稿のトーンも自然と変わってくるんですね。中でも印象的だったのが、Facebookでのストーリーテリング的な投稿でした。例えば新聞広告が掲載された時の投稿も、ただ「載りました」ではなくて……
野田
「朝、友人から1通の連絡が…『野田くん、あんた新聞に載ってるわよ!』」みたいな感じですよね(笑)。
深井
そうそう(笑)。「何かやらかしたのかと思ったら、実は書籍の広告だった」という流れで。あれはすごく引き込まれました。
野田
ありがとうございます。やっぱり“事実をそのまま”伝えるだけでなく、“どう描写するか”を少し工夫することで読んでもらいやすくなるし、記憶にも残るんじゃないかなと。身近な出来事をどう語るか、それがSNSでは大事だと思ってます。
深井
確かに。日常にちょっとした「起承転結」があると、読む側も感情移入しやすいですもんね。
野田
そうなんですよ。あとは写真もけっこうこだわっていて。Facebookには基本3枚載せるルールにしているんです。
深井
へぇ、3枚って決めているのは何か理由があるんですか?
野田
写真を何枚か載せていると見てもらいやすいなという実感があって。3枚だとちょうどよくストーリーが作れるんです。例えば「会場到着→イベント中→皆で記念写真」とか、それだけで流れが見えやすい。盛りだくさんになって5枚6枚と載せることもありますけど、バランスは意識しています。
深井
なるほど、それは確かにストーリーが伝わりますね。写真の構図や色味も、すごく綺麗ですよね。カメラにもこだわってるんですか?
野田
いや、あれ実は全部スマホなんです。光の入り方とか角度とか、いろいろ考えながら撮ってるとだんだん楽しくなってきて。あちこちで食べた美味しいものとか、いろいろ撮りためてあるんですよ。
深井
へぇ! なんだか野田さんのまた新しい一面を見た気がします(笑)。そう考えると、SNSの発信って、写真ひとつにも“演出”があるということですよね。
野田
そうですね。ただ、演出といっても「どうやってよく見せようか」ではなく、「どうすれば気持ちが伝わるか」って考えているだけなんです。言葉も写真も、伝えたい気持ちがちゃんと届くように形を整えるというか。
深井
ははぁ、なるほど。「盛る」のではなく、かっこつけずに“伝わる形”になるよう演出するわけですね。自然体のようで、実はすごく丁寧に設計されていると。
野田
そうかもしれません。でも結局は、“素の自分”がにじみ出てしまっていると思いますけどね(笑)。
深井
でもそれがいいんでしょうね。取り繕ってないから、安心して読めるんだと思います。
野田
だったら嬉しいですね。SNSって、どこかで誰かが見てくれてるメディアだと思っていて。反応はなくても、ふとした瞬間に「いつも見てます」って言われたりするじゃないですか。それが励みにもなっています。