勘違い日記 Blog
- 2025.08.16
【第19回】舞台の上で伝える、感謝と全力の姿
深井
先日の出版イベントでも感じましたが、野田さんは、大勢の前で話すのが本当にお上手ですよね。人を惹きつけ、和ませる特別な秘訣があるんですか?
野田
ありがとうございます。そう言っていただけるのは嬉しいです。でも自分では「話がうまい」という自覚はあまりなくて。ただ、気取らないように、自然体で話すようにはしています 。…実は、その根底にあるのは「自信のなさ」なんですよ。
深井
え、そうなんですか? あれだけ堂々と、楽しそうに話されているのに。
野田
いえ、本気です(笑)。本を買ってくださったり、イベントに来てくださったりすることにも、「こんな自分のために…」なんて申し訳ない気持ちになってしまうくらい。だってチケット代や交通費、そして何より貴重な時間を使って来てくれているわけですからね。
深井
なるほど~。そういう気持ちでステージに立たれていたんですね。客席側からは全く想像がつきませんでした。でもその気持ちがあのエネルギーにつながっているんでしょうね。
野田
感謝と申し訳なさが、いい形で熱量に昇華されているのかもしれません。後から人前で話している自分の写真を見ると、我ながらすごい表情と身振りですから(笑)。家族からも「ちょっとやりすぎじゃない?」なんて言われたりもしますし(笑)。
深井
いえいえ(笑)。こちらからは見ていて気持ちがいいくらいの全力疾走感でしたよ。でも「自信がない」というのは意外ですね。普通は「自信がついたら前に出よう」と考える人が多い中で、それでも前に出ていけるのはなぜなんでしょう?
野田
そこはもう、エンターテイナーとして全力で振り切るしかないですね。そこにはカッコつける気持ちなんてさらさらなくて。「オタ芸」ってあるじゃないですか。あの全力感が大好きなんですけど、自分ではあれぐらい振り切っているイメージです。
深井
「オタ芸」ですか。また意外な例えが出てきましたね(笑)。でも確かに、全力の人って応援したくなりますよね。あの熱量くらいの感謝があったわけですね。イベント全体が本当にあたたかい空気に包まれていた理由がわかった気がします。
野田
そうだと嬉しいです。イベントが終わった後は、もう「ありがとう」と「ごめんなさい」の気持ちでいっぱいで。いてもたってもいられなくて、帰りの電車の中から来てくださった方全員にお礼のメールを送りました。自信がないからこそ、「よかったよ」って言ってもらいたいだけなのかもしれませんけど。
深井
でも自信満々に語られるより、ずっと心に響きますよ。「自信がないままで前に出てもいいんだ」というのは、多くの人にとって、すごく大事なメッセージだと思います。