勘違い日記 Blog

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  • 2025.08.09

【第18回】書く、練る、整える——本づくりのリアル

深井
野田さんはこれまで3冊の本を出版されていますが、今回はその裏側についてお聞きしたいです。一冊書き上げるのに、どれくらいの期間がかかるものなんですか?

野田
だいたい一冊3ヶ月ですね。でも今、同じように書けるかと言われると自信ないですよ(笑)。

深井
3ヶ月ですか! すごいスピード感ですね。どうやってその期間に集中して書き上げるんですか?

野田
執筆期間中は毎日スタバに通ったり、バイクで御殿場のホテルに泊まり込んで、ひたすら書いたりしていました。完全にスイッチが入っている状態ですね。

深井
まさに作家のようですね。執筆スタイルで何かユニークな方法はありますか?

野田
僕は、書いた文章を自分で“耳から聞いて”整えるんです。WordやiPhoneの読み上げ機能を使って、移動中や犬の散歩中に自分の文章を何度も聞きます。そうすると、黙読では気づかないような表現の違和感が見つかるんですよ。

深井
なるほど、耳で推敲するんですね! いきなり完璧な文章を書くのは難しいですが、その方法ならできそうです。

野田
そうなんです。だから完璧を求めずに、ある程度書いたら編集の方に「お願いします!」と託してしまうんです。自分の中だけで完璧にしようとすると、いつまでたっても終わりませんから。

深井
「託してみる」というのは、少し気が楽になりますね。その原稿が、プロの手でどう変わっていくのか、すごく気になります。

野田
やっぱりプロはすごいですよ。自分では120%の熱量で書いたつもりが、80%まで削られて戻ってくることもありますし…。

深井
ええ! じゃあお気に入りの部分が削られてしまうこともあるんですか?

野田
ありますあります。「この章、好きなんだけどな」と思っていたところが、まるっとカットされたり(笑)。でもそれが結果的にブラッシュアップされて、すごく読みやすくなって戻ってくるんです。

深井
著者としては複雑な心境かもしれませんが、客観的な視点が入ることで磨かれていくんですね。

野田
本当にそう思います。編集者ってすごいですよ。いわゆる「ゲラ」という校正された原稿が戻ってくると、もう自分の文章じゃないみたいに感じますから。まるで誰かが他人の文章に赤ペンを入れているような、不思議な感覚になりますね。

深井
ご自身の本なのに(笑)。それだけ編集者の方の力を信頼されているんですね。

野田
そうですね。自分の書いたものが本になること自体、今でも少し不思議な感覚があるんです。だからこそ、誰かの手で磨かれて、本として完成したのを見ると、自分が一番感動するのかもしれません。

深井
本づくりって、特別な才能が必要なものだと思っていましたが、熱意があれば誰にでも可能性があるものなのかもしれませんね。そう思ったら、「まず一歩踏み出してみようかな」と思えてきました。

野田
そう思ってもらえたなら嬉しいです。自分の中に「これを書きたい」という軸さえあれば、あとはその全力の思いに応えてくれる人の力を借りればいいんです。だから遠慮せず挑戦してみてほしいですね!