勘違い日記 Blog

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  • 2026.04.25

【第55回】「ありがとう」と言わないマネジメント

深井
野田さんの魅力というとやはりその人間味だと思うんですが、「社長」としての野田さんは普段どんなふうに社員さんと接していらっしゃるんですか?

野田
ああ、それでいうと、最近のマネジメントでは、僕の人間味みたいなものをなるべく出さないようにしているんです。

深井
えっ、そうなんですか? これまでのエピソードを伺っていると、すごく情に厚いイメージがあったんですが。

野田
仰るとおり、以前はまさにそういう「人情マネジメント」の塊だったんです。「家族のような絆を作れば組織は強くなる」と信じて、社員と食事をしたり、交流することを意識して実践してきました。

深井
野田さんらしい熱いリーダー像ですよね。なぜそこから「人間味を出さない」方向に変わったんでしょうか?

野田
ある時ふと、どれだけプライベートの時間を共有しても、辞める時は辞めるし、問題が起きる時は起きると気づいたんです。むしろ距離が近くなりすぎることでかえって甘えが生じたり、客観的な評価ができなくなったりする弊害の方が大きくて

深井
ああ、なるほど。距離が近いからこそ言いにくいことができたり、慣れ合いが生まれてしまうと。

野田
ええ。だから今は、意図的に「社長という役」を演じるようにしています。僕はこれを「社長の仮面」と呼んでいるんですが、社員の前では「野田和裕」という個人としての感情を横に置いて、「機能としての社長」であろうと努めています。

深井
へぇ。あえて「仮面」を被って、一線を引いていらっしゃるわけですね。それはそれで結構な努力が必要そうです。

野田
そうなんですよ。例えば、以前なら社員が良い仕事をしてくれた時に「ありがとう。助かったよ」と感情を込めて伝えていました。でも今は、その言葉をあえて抑えているんです。正直、慣れるまではつい感情が出てしまいそうできつかったですね(笑)。

深井
そりゃそうですよね。だって普段の野田さんと真逆ですし、それになんだか少し寂しい気もします。

野田
もちろん、今でも心の中では感謝していますよ。でもマネジメントにおいては、社長に「ありがとう」と言われたいから頑張るようになってしまうと、仕事の目的が「お客様に価値を届けたか」ではなく、「社長が喜ぶかどうか」にすり替わってしまう。結果的に、ルールや仕組みではなく「社長の顔色や機嫌」で動く組織になってしまうんです。

深井
ああ、なるほど。個人の感情による「報酬」に依存させてはいけない、ということですね。

野田
そういうことです。仕事が正しく回って成果が出たのであれば、それは仕組みが機能した結果なんです。社員が自分の役割を果たし、正当に評価され、安心して働ける仕組みを作る。それこそが経営者の本当の役割だと思うようになりました。

深井
ふーむ。「人間味」を出さないことが、結果として社員を「仕組み」という名の公平な環境で守ることにつながっていると。

野田
ええ。確かにちょっと孤独を感じる時はありますが(笑)。僕が「優しい野田社長」でいることよりも、ライフワークスが30年、50年と続いていく強い組織であることの方が、社員やその家族、そしてお客様にとっても価値があるはずですから。

深井
かつての「アタッシュケースに憧れる青年」だった野田さんが、20年を経てたどり着いた境地なんですね。経営者としての、また新しい一面を知ることができました。




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