勘違い日記 Blog

  • 2025.05.05

【第5回】東京で得た“信仰とビジネス”の衝撃

深井
前回までに、祖父・父の経営観や母の後押しなど、家族の影響について伺いました。今回お聞きしたいのは、野田さんが東京でキリスト教専門の葬儀社に勤めたときの衝撃です。

野田
地方育ちだった自分にとって、東京という場所は文化も価値観も多様で刺激的でした。特にキリスト教専門の葬儀社で働いた経験が大きかったですね。昼間は厳粛な葬儀を手がけ、夜は経営者が新たなビジネスの打ち合わせをしていたり、いろいろな方面に顔を出して人脈を広げる。そういう二面性が印象深かったです。

深井
“信仰とビジネス”が同時に動いているのが、意外と自然に見えたということでしょうか?

野田
そうなんです。キリスト教の厳かな要素と、しっかり稼ぐビジネス的な要素がまったく別物ではない。どちらも愛や希望を届ける手段として大事なんだと実感しました。そこで「葬儀を通じて多くの人の心を支えることができるし、経済的にもちゃんと回せるんだ」と学んだんです。

深井
なるほど。東京での経験で葬儀の仕事自体のイメージも変わったんですね。そのときからいつかは葬儀社としての独立を考えていたんですか?

野田
いえ、それが当時はまだ自分が葬儀の仕事を展開するようになるとは思ってもいなくて。ただキリスト教精神で運営する会社が、しっかり利益を出しながらも葬儀の現場で家族を支えている姿を見ているうちに、少しずつ気持ちの変化がありました。「葬儀」という寄り添う働きの中に「死を見つめて全力で生きる大切さ」を深く認識することができたんです。

深井
なるほど。ただそこから一旦は家業に戻られたわけですよね。そして最終的には独立へ踏み切った。やはり、東京での学びも独立の後押しになったのでしょうか?

野田
それは大きかったですね。家業での苦労を乗り越えたあとは、「今なら自分の可能性を本気で試せるんじゃないか」と思いました。そこで頭をよぎったのが、キリスト教専門の葬儀社で得た経験だったんです。

深井
なるほど~。ここでその経験が活きてくるわけですね。そして今度はご自身で“キリスト教専門”の葬儀社を立ち上げられたと。“キリスト教専門”というと、なかなかニッチな分野ですよね。最初はご苦労も多かったのでは?

野田
そうですね。ただ私自身は、逆に「まだまだ知られていないからこそチャンスがある」と考えたんです。キリスト教式の葬儀は悲しみだけでなく、故人を明るく送り出す文化があるんですが、そこにも可能性を感じました。

深井
文化としての可能性も感じていたんですね。とはいえ一般の方にはなじみが薄いですし、「教会で葬儀?」というイメージもピンと来ない人が多い気もします。

野田
そうなんです。そこで重点を置いたのが終活セミナーの開催でした。暗い話ではなく、「前向きに最期を考えよう」という趣旨で、エンディングノートやキリスト教葬儀の特徴をお伝えしたんです。最初は少人数でも続けていくうちに、「これなら故人を温かく送り出せる」と興味を持ってくださる方が増えました。

深井
そうやって地道に広報していったわけですね。その努力が実り、今では日本最大級のキリスト教専門葬儀社に成長されたと。「東京での衝撃」がなければ、ここまで踏み切れなかったかもしれませんね。

野田
そう思います。東京で「ビジネスと信仰は両立できるんだ」と体感し、家業での経験を通じて「自分で動けば結果が出せる」と自信をつかんだ。これらが合わさって「ライフワークス」が生まれたんだと思います。

深井
なるほど。では次回は「ライフワークス」創業時の想いやこれまでの印象的なエピソードについて聞かせていただきたいと思います。